ひな祭りといえばちらし寿司！その理由とは

2025年3月3日

ひな祭りは女の子の健やかな成長を願う日。元々、3月3日は「上巳（じょうし）の節句」で、桃の節句としても知られています。

節句とは季節の変わり目に邪気を払うために、無病息災などを願って行われていた中国の風習で、日本に伝わり季節行事として根付いてきました。たくさんの節句があったなかで、江戸幕府が下記の5つの節句を公的な祝日として定めたことから、特に「五節句」と呼ばれるようになりました。

それぞれの節句では、旬の食材や邪気を払うとされる食材を使った食材を食べる習わしがあります。1月7日が「人日の節句」ということはあまり知られていませんが、その一年を健康に過ごすことを願って七草粥を食べる習慣はご存じではないでしょうか。

中国では、桃は子孫繁栄をもたらすものとされていたこと、また桃の花が咲く時期に行われることから、桃の節句とも呼ばれます。

日本では上巳の節句に、「人形（ひとがた）」という人の形を紙でつくったものに自分の厄を移し、水に流して祓いとしました。また、日本の公家には「雛あそび」という人形遊びがありました。この「ひとがた」が「雛あそび」と混ざり合って雛人形を飾るひな祭りへと発展していったのではないかと考えられています。

ひな祭りにちらし寿司を食べるようになった由来は、はっきりとわかっていません。

日本では、遅くとも江戸時代には、お祝い事にはお寿司を食べる習慣がありました。お祝いの席の食事としてちらし寿司が定着したのは江戸時代、ひな祭りに食されるようになったのは大正時代以降ではないかと言われています。

特に見た目が豪華で、縁起の良い具材を使ったちらし寿司は女の子のお祝いであるひな祭りにぴったり。長い髭と曲がった腰から長生きできるようにという意味が込められた「海老」、財宝に見立て金運を表す錦糸玉子が一般的ですが、現代ではイクラやサーモンなど具材も自由な様々なちらし寿司を見かけるようになりました。

「手づつみちらし」も、それぞれ縁起物の具材を手焼きの玉子で包んでいます。ひな祭りはもちろん、ハレの日に食卓に並べ、にぎやかにたのしんでいただければ幸いです。

参考：『12ヶ月のしきたり知れば納得！暮らしを楽しむ』／新谷尚紀／PHP研究所